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『強くなる為に必要なただ一つのこと』大﨑 建(監督)




8/21〜8/24の3泊4日

新潟の刈羽村へ強化合宿に行ってきました


テーマは『強くなる、逞しくなる』

強いチームってなんだろう

そんなことを求めて日本海への遠征



事前に伝えていたのは


"地獄の合宿"


になるということ



日程はこんな感じ


1日目

新潟へ朝8時発、移動4時間

そのまま昼練習

その後、夜練習の2部練


2日目

朝昼夜の3部練


3日目

朝練してからトレーニングマッチ


4日目

本来練習試合のはずだったけど

相手チームの都合が悪くなったのでリカバリー


まあーなかなかこんなんやらんだろうと。

地獄のスケジュールだと思う


ちなみにこれ指導者1人で回すってのも

めちゃくちゃ地獄でした!笑



内訳はこんな感じ


朝練→タクティクス

暑さも抑えられて1番頭が働く朝は

戦術的なことを重点的に行う


昼練→フィジカル

暑さのピークの昼は身体だけで乗り切れて

がんばるだけでいいフィジカルトレーニング


夜練→テクニック

疲れのピーク夜はできるだけ楽しく

ボール触ってゲームやって

疲れてても行けちゃう的な



まあそこそこ理には適ってるとは思うんだけど

昼が特にキツいとは思うし

僕自身も千本ノックみたいな練習したときは

なかなか地獄だった

(千本ノックみたいな練習ってなんだよ!!)

あと、今年の新潟はフェーン現象だか

エルニーニョ現象だか知らんけど

めちゃくそ暑かった!!

朝練がめっちゃめちゃ暑かった!

例年はそんなことないらしいのでご安心を!



灼熱の暑さの中、1日のほとんどを

サッカーに費やすことになる



それこそが地獄?



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◆地獄の意味と狙い

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こんな鬼ハードスケジュールは時代錯誤だ

今や最先端のトレーニング理論があって

3部練なんてものは必要ない!


そんな感じで怒られそうだし

こんな昭和ナイズされたことやるのは

無能指導者だと思われそうだ!


それに関しては割と僕は無能だ

そんでもって昭和的なやつは結構好きだ

無能+根性論は結構痛々しいかもしれない



ただ僕はこれが強さに繋がると信じてる



昭和の指導みたいなものがなぜ今

批判の対象にあるのかを考えてみる。



まずは選手を危険にさらすこと

または強要することで判断をできなくすること

そして、そのスポーツを嫌いにすること



ざっとあげるとこんな感じだろう



これらのデメリットからずらすように

地獄を作ることが重要になる


つまり、僕らが行ったのは



"デザインされた地獄"



昭和の悪いところを抜いた

地獄をデザインして作り上げようじゃないかと



イメージしずらいかな?


例えば昭和っぽいことと言えば

最近減ったとは思うけど

会社で飲み会強要する的なやつ



僕はめちゃくちゃ苦手だし大嫌いだ

大体足痛いんでとか言って行かなかった


だけど強制メシ発案者の僕からすれば

組織の人と仕事以外の部分で

関わって話せるようになることは

重要過ぎると言っていいほど重要だと思ってる



いやどっちだよ!!という声も聞こえますが



つまりね!


上司へのお酌とか

上司の話を聞いてヘコヘコするとか

飲まされるとか

そもそも強制参加とか


そういうものが悪であって

そういうの取り除けば

飲みに行くってのはめちゃ重要で

やった方がいいことのはずでしょと


だから昭和的なものは無くしたくない

デザインして現代版として使っていきたい


僕はそう考えている



さあ、じゃあサッカーでどうすんねん?と。



まず1つ目は、

最優先は怪我しないこと


それを重点にメニューを作成する

具体的には


①15分以上水分補給できないメニューはしない


フィジカルメニューだとしても最長は

クーパー走の12分くらいなもんで

こまめに回復、水分補給ができるようにする


②筋肉の負荷の種類を変える


初日は移動明けで身体も硬いから

ストレッチ系から体幹トレーニング

そんで長距離走

ダッシュ系のメニューは2日目の昼だけ

アップでいろんな方向の方向転換を入れる

ゲームのルールやコートのサイズで

起こしたい運動を管理する


まあもうちょっと細かいけど

ざっくり言うとこんな感じで

負荷の場所を変え続けることで

怪我のリスクを下げる

多分この日程で毎日ダッシュすれば

全員ハムストリング肉離れするだろう



③やめるという判断を非難しない


どんなに気を遣おうと

この日程で怪我は起こりうる

だからこそ選手のやめる判断を尊重する

自分の身体は自分が1番よく分かる

これ以上やったら危ないな

その判断をしてやめることができるように

続けることを過剰に褒めたり

やめることを逃げるように言ったりはしない


もちろん最後は

全部乗り切った人たちを讃えるけれど

練習中にそういう声はかけない



なんかここが1番現代版な気がする


結果的にいうと

接触による軽い怪我は起こったが

大きな筋肉系のトラブルはなかった


合宿の2日後の練習試合には

接触怪我の1人を除いて全員プレーできた



まあそれでも本当にギリギリのところだ

怪我と隣り合わせ



それを実施する狙いとはなんなのか



その1番大きな狙いは


"地獄を共に乗り越えた仲間になること"



フィジカル強化以上にここが大切だ

だってこの4日がんばっても

この後、クーラーガンガンで

お菓子食べまくってる選手への効果はすぐ消える


けど、記憶はなくならない



共に辛い時間を共有すること

それも普通じゃ経験できない辛いこと


心が折れそうなこともあるだろう

その時は仲間と励まし合って


ちょっとサボりたくなるときもあるだろう

その時は先頭で引っ張るあいつの背中を見て


偉そうに走らせてくる指導者が

むかついて堪らないときもあるだろう

その時は仲間と共に文句言えばいい



そして、達成感を分かち合って

共に美味しいご飯を食べて

隣で並んで寝ればいい



そうすれば背中を任せられる仲間になるはずだ


そして、いつか

俺らはあんな地獄を乗り越えたんだから

負けるわけがねえんだ!


そんな風に思える経験になればいい


これが強いチームに向かってると信じてる



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◆強くなるために最も大切なこと

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強くなる

それを求めて行った合宿で気づいたことがある


これは行って初めてわかったことだ


それはトレーニング以外の時間の使い方が

とてつもなく大切だということだ



トレーニング外の時間の使い方で

大きく分けると3つのタイプの選手がいた


①疲労、暑さの蓄積によって

食事や睡眠のタイミングが疎かになり

どんどんコンディションを下げていく選手


②トレーニングには全力で取り組める

ただトレーニング外は疲弊しテンションもバラバラ


③トレーニングには全力なのはもちろん

トレーニング外もサッカーのために使う

常にいつも通りのテンション


①が良くないのは分かると思う



②と③はどうだろう?

この合宿前は僕は②も③も同じだと思っていた


サッカーの場面だけ全力出せればいいだろうと



でも違った

ピッチ外の気分の起伏はどうしたって影響する

全力でやることしか出来なくなる


この練習の中でさらに良くなるために考え

なにか変えたり、行動を起こしたり

②の選手にそれは難しかった



簡単に言えば余裕がない



トレーニングが終わってもサッカーのやつは

次のトレーニングを見据えて

食事をするし、睡眠をとる

余裕があれば追加でサッカー上達のために時間を使う


もっと言うと、

びっくりするくらい楽しいことがあっても

そこまでテンションが跳ね上がることはない

楽しまないってことではなくてね


自分でコントロールできる範囲からはみ出ないって感覚だ


(僕自身はこれに関しては2年前ウチダメンタルって本を読んで訓練したから結構出来てるつもりだ)



これはシーズン中の日常に置き換えてもそうだ

ネガティブな出来事は必ずある

負けることもある

勝っても自分のプレーはひどかった

なんてこともあるし

彼女にフラれることもあるし

身内に不幸があることもあるし

学校生活の大失敗もあるだろう

それが重なることだってある


外的要因はよっぽどシーズン外のが多い

そういうものに左右されるかどうかだ



なにが起ころうとも

そこに気分の針を振らずに

サッカーに身を注ぐことができるか



そんな選手が多いかが

これから強くなるために必要なことだと

合宿を通じてわかった



では、②の選手と③の選手の違いとは?


だいぶ引っ張ったけど

これがこのブログのタイトルの答えだ


最初に書けばわかりやすかったものの

かっこつけて引っ張ったところが無能だ



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◆頂点に立つ者たちの本能

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この文章はずっと強いってことを追い求めてる



じゃあ強いってのは?

③の選手の頂点に立つのは?



そう、例えばリオネル・メッシだ

彼はドリブルが上手いから世界一なのか?

違うと僕は思っている

彼は大怪我をすれば怪我しない体で帰ってきた

ドリブルはファールで止められると分かったら

フリーキック決められる選手に変貌した

彼は常に進化し続けてきたんだ


何個バロンドールを獲得しようと

チャンピオンズリーグで勝とうと

満足せずに進化を続けるのはなぜだろう?



じゃあ例えば大谷翔平さんはどうだろう?

誰もが出来ないと言った二刀流で

世界No.1の選手になっている

彼はなぜそんな偉業ができたのか?



才能



それは間違いない

彼らと全く同じ日常を過ごしたとしても

彼らと全く同じ場所には辿り着けない



でもそうじゃないんだ

彼らがそこに辿り着いたのは才能だけじゃない

もっと大切なものがある



それは"そのスポーツが誰よりも好き"ってことだ


メッシは世界で1番サッカーが好きな人

大谷翔平さんは世界で1番野球が好きな人だ


これは完全に僕の仮説だ


でも確信に近いものを持っている



メッシは全てを手にしようと満足しない

サッカーがただただ好きなんだ

なぜ進化するか?って簡単だ


"もっとうまくなりたい!!"


きっと彼にはこれしかない

大好きなサッカーをとことん追求して

上手くなり続けたい

それに理由なんてもんはない

本能だ!



大谷翔平さんもきっとそうだ

僕が心に残ってるのは

WBCでバントしたシーンがあった

それを観て思った

この人はとことん野球を楽しんでる

野球のどんな部分も楽しんでる



きっと二刀流の成功の計算なんてなくて

ただピッチャーもバッターもやりたかった

たくさん野球がしたかった

それだけなんだと僕は思う



つまり、【サッカーが好き】

これが答えだ

僕らが強くなるためにはこれしかいらない



たまに、うちの練習を観に来てくれる指導者仲間がいる



その人に言われたことがある

おそらくプロにはなれないであろう

うちの選手たちが

わざわざ大学までサッカーを続ける意味って

なんなんですか?って



確かにな。って思ったけど



僕はこう答えた


『理由はいろいろあるとは思うんだけど

みんなサッカー好きなんだよ!

だから俺もみんなのこと好きなんだと思う』



僕はこのチームには強くなる素養があると思う

だってみんなサッカー好きだから

それがひしひしと伝わってくるから



だけど、もう少しだ

もっとサッカーに熱中して

もっとサッカーに夢中になって

もっとサッカーの奥深さを知って

もっとサッカーに全てを注がないと



これは無理矢理やっても意味がないんだ

心のままに本能のままにそうならないといけない



僕らは常勝軍団ではない

Jユースの選手なんかいないし

名のある高校の選手もほぼいない

負けてきた経験の方が多いかもしれない


もっと言えば

僕自身常勝軍団のあるべき姿は知らない

J1連覇してる時の川崎も知らないし

昔の鹿島アントラーズも知らないし

青森山田がどんなチームかも知らない


みんなで手探りで強いチームを探していく

僕らなりの強いチームを目指していく



そこに必要なのは

心からサッカーを愛した選手たちだ



そんなやつらはサッカーするときに

"モチベーション"なんてもんはない



サッカーするのに理由が必要なやつは

結局頂点には立てない

ただサッカーが好きだから

サッカーをとことん突き詰めればいい



最初に言った

1日の大部分をサッカーに費やすのは地獄?と


それはNOだ


1日の大部分がサッカーって最高じゃん

めちゃくちゃ幸せじゃん


常にサッカーが隣にあるような状態を

最高の幸せに感じられる選手が

チームの多くを占めるようになったとき

僕らはまた一段と強くなるだろう



僕はいつだかの七夕の短冊にこう書いた

『生涯フットボール』

みんながこう思ってくれたらいいな


最近、大学サッカーが終わった後の

サッカー人生について聞くことが増えた

みんなサッカーに関わって欲しいな


選手でも、指導者でも、サポーターでも



そんな選手をたくさん輩出する集団になりたい




その先頭にたって旗を振るのが僕だ



僕にできることはただ一つ



彼らがもっとサッカーを好きになるように働きかけること



そのためにこのチームを好きなる必要があって

チームメイトを好きなる必要がある


このチームでやるサッカーが好き


まずそう思ってもらえたら



面白いサッカーをする喜びを伝えて

成長の喜びを伝えて

達成感という喜びを伝えて

辛い時間を共有した仲間と喜びあう幸せを伝えて

そして、勝つ喜びを伝えてあげたい


だから僕は先陣を切って


良いサッカーをして

全員サッカーうまくして

そして、勝つ



そうやってチームを引っ張っていく覚悟があるし

人生を捧げていく決意もしてある



だって僕はサッカーが大好きだから






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