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【卒業ブログ】「語るに足らない大学サッカー生活は行間」松田凜太郎(タイ語科)

更新日:2023年4月1日



入学当初の私にとって大学は手に余るほど自由で、何をしていいかすらわからない分、むしろ不自由を感じてしまうくらいには不安だったことを思い出す。だからこそ私は大学生活を通じて人生最後のサッカー部に所属し、没頭することを決断した。その5年間はというと、不条理と制度への抵抗をモットーに生意気な1・2年生を過ごした挙句、3年生の幹部代ではチームの戦術や練習を統括する立場として試行錯誤し、休学から復帰後は最上回生としてサッカーだけに集中できる環境を楽しませてもらった。である。以上数行でまとめてしまうと、大学サッカー人生を謳歌しただけと見えるかもしれないが、そこには読み取ってもらうには申し訳ないほどの行間が存在するわけであり、そのほとんどが反省と学び、自戒による人間的成長の日々だったと言わざるを得ない。かといって、自ら文章にできるほどの目立った成果や成績を残せなかった私の大学サッカー生活は上記以外に纏めようもないため、もはやその行間こそが本文なのだと思う。そこでこの機会に、4シーズンを通じて考え、反省し、学んだ4つのことを綴り、私の行間を少しでも明らかすることで、卒業ブログとさせて頂きたい。

>1、後輩は組織の現状を疑ってみる習慣を、先輩は正しい器量を持つ方がいい気がする。

学年による超えられない上下関係がある中では困難なことも良くわかるが、思考停止の後輩と、現状に胡坐をかく先輩になってもらいたくはない。私は1年生の頃からあれこれ考え色々と口を出して先輩方に迷惑をかけたが、後輩なりに考え抜いたからこそ、自分が先輩になった時に当時の先輩に一理あったことが身に染みてわかり、後輩の考えを多少なりとも深く理解できるようになったと思う。つまり、後輩として現状をより良く打破しようと考え抜いた経験があれば、自分が先輩になった時には、当時の先輩の意図や後輩達の持つ意見を受け入れて少しでも正しい未来に繋げられるのではないだろうかという意味で、また私がそれを十分に出来なかったことへの反省を込めて、である。4年生が留学に行く外大サッカー部だからこそ、どの大学よりも後輩の突き上げと先輩の器量が重要なのだから。

>2、行動が一番自分を表現しているし、どうやら周りはしっかり見ている。

何を考えるかでも、何を言うかでも無い。いま講釈を垂れている私に説得力があるかも過去の行動のみが拠り所であるのは心許ないが、組織の先頭に立つ上で最も大切にしてきたつもりだ。つもりだと言うのは自分を甘やかした瞬間に覚えがあるからだが、それでもこの言葉を記すのは、活動する中で自分自身の在り方しか頼みの綱がない瞬間が来るはずだからだ。それは先頭に立って組織を良くしたいと思った時だったり、後輩に言葉をかけたい時、先輩に進言したい時かもしれない。つまり、「そうは言うけどじゃあ貴方はどんな姿を見せてきたの?」という問いが投げられる瞬間だ。そんな瞬間に自らの言葉に実質が伴うように、拠り所となる日々を過ごしてほしい。

>3、組織活動の根幹は優しさかもしれない。

1、2を意識すると自分にも組織にも厳しい人間が出来上がってしまうように感じるが、組織に属して部員と関わりを持ちながら活動する上で最も大切なことを1つ挙げるなら、優しさである。優しさの定義は一様ではないからこそ、そこには様々な種類や表現方法があると理解しておくことが欠かせない。学生組織で例えるなら、誰かが発した厳しい意見を組織の為だと理解してあげることも、また組織を主語に責められてしまったと感じる個人がいることに気付くことも優しさである。優しさの根幹を成す気付きと理解を得るには常に組織や仲間と関わることが重要で、普段は組織や周囲に無関心な人間から放たれた言葉は的を射ていても刺さらないことが多いと感じる。学生主体の部活動という「組織と個人」の境界が曖昧な環境の中でどの優しさを持ち、振る舞うかが5年間で最も考え、反省し、学んだことであり、その過程でも多くの優しさに救われた実感は幸せな5年間を示すものだと、感謝している。外大サッカー部が様々な形の優しさを持ち合わせたチームであり続ける事を願っている。

>4、やっぱり自分で考え抜いてほしい。

正直、毎年の卒業生が残す、“最後の言葉”が、後輩達の心に響くのかについては甚だ疑問だ。そんなひねくれた私からの最後の言葉は「自分で考えろ」である。見捨てるわけではなく、組織の在り方、自らの在り方について自分の力で考え抜いてほしいと本気で思っている。考え抜くとは結論出すことではなく、その過程をいかに充実させるかであり、結局は同じ答えに行き着くにせよ、その過程、思慮の深さこそが各個人の内面や人物像を形成するのだと思う。ならば、引退するまでに何か1つでも考え抜いて、自らを律して行動を起こし、優しさを持って仲間を巻き込み、試行錯誤の日々を過ごして欲しい。その先にこそ、こんなにも自由な大学生活をサッカー部に没頭すると決断したあなたの、貴方なりの行間が見つかるはずだ。

以上が私の拙い行間であるが、最後に、日々不自由なくサッカーができたことや、みんなで頑張れば少しは結果が出ること、最高の仲間に出会えたことを当たり前だと感じてしまうような掛け替えのない5年間と、関わってくれた全ての人への感謝は、紛れもない本文としてここに記しておきたい。

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